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マイコプラズマ肺炎

早いもので11月も半ばとなりました。

H22.10月の中旬頃からマイコプラズマ肺炎の患者さんを見かけるようになりました。

下のグラフは10月以降にマイコプラズマ肺炎の患者さんが旭川市内で増えてきている様子を示しているグラフです(クリックすると拡大されます)。

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そこで今回はマイコプラズマ肺炎についてお話したいと思います。


<マイコプラズマ肺炎について>
 発熱・咽頭痛(のどの痛み)・咳・頭痛・倦怠感(体のだるさ)とあたかも風邪のような症状で始まります。長引く熱や咳のため気付かれるケースが多くあります。好発年齢は5-10歳台で潜伏期間は平均2-3週間とされています。

 マイコプラズマ肺炎は肺炎マイコプラズマ(以下、マイコプラズマ)というバイキンによる感染症です。このバイキンの大きな特徴は普通のバイキンは殻(カラ)を持っているのに対し、マイコプラズマは殻(カラ)を持っていないことです。

<殻(カラ)がない......>
 広く用いられている通常の抗生剤は殻(カラ)を壊すことでバイキンをやっつけますが、その抗生剤では殻を持たないマイコプラズマをやっつけられません。通常の抗生剤で治療しているにもかかわらず症状がなかなか改善しないのはそのためです。

 マイコプラズマはバイキンが分裂出来ないようにする力を持った抗生剤で攻撃しなければなりません。バイキンが分裂出来ないとやがて寿命が尽きて死んでしまうことを利用した治療方法です。寿命が尽きるまで時間がかかるので適切な抗生剤を用いても熱が下がるまで3日前後を要します。咳はマイコプラズマが体の中からいなくなっても2-4週間続きます。

・普通のバイキン:殻(カラ)がある
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殻を壊す抗生剤(通常の抗生剤)が効く

・マイコプラズマ:殻(カラ)がない
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・殻を壊す抗生剤(通常の抗生剤)が効かない

       ↓

 分裂を抑える抗生剤を用いる


<診断方法> 正確な診断には2回の血液検査が必要です!

1. 肺炎と気付いた時(1回目)、2. 気付いた時から7-14日後(2回目)で血液検査を行います。血液中のマイコプラズマに対する免疫(抗体というマイコプラズマをやっつける体の中のミサイル)を確認します。

1回目の検査で免疫反応が低い状態であることを確認し、2回目の検査で免疫反応が高まっていることが確認でれば診断が確定します。

実際に、最近、マイコプラズマ肺炎と診断した患者さんの血液検査を示します。尚、マイコプラズマの感染を起こしたことのない人の検査値は40倍未満です。

○○ちゃん
1回目の検査でマイコプラズマに対する抗体(=ミサイル):80倍
              ↓
2回目の検査でマイコプラズマに対する抗体(=ミサイル):320倍

○○くん
1回目の検査でマイコプラズマに対する抗体(=ミサイル):160倍
              ↓
2回目の検査でマイコプラズマに対する抗体(=ミサイル):2560倍


<迅速診断について>
上記の方法が時間がかかるということで、すぐに、しかも一回で結果が出るという方法が登場しました(採血が必要ですが......)。

子供への注射も一回で済むので大変魅力的なのですが、残念ながらこの方法では一回の検査で陽性と出る確率は30%と低いだけでなく、その検査で陽性と判定されても本当はマイコプラズマではない確率がおよそ20%と信頼性に問題があります。結果の解釈には注意が必要です。

時々“1年間に何回もマイコプラズマに罹ったことがあります”...と言われる患者さんがいますが、おそらく迅速診断の結果の解釈の誤りだと思われます。


参考文献)
尾崎隆男、西村直子. マイコプラズマ・ニューモニエ肺炎の診断と治療に関する最近の治験. 感染と抗菌薬 vol.11, no.1, 2008.

posted by 院長 2011年04月28日 | 小児の病気・[ま]行>マイコプラズマ肺炎
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